新NISA、枠が2つあることに戸惑う
「50代からのNISA、いまさら聞けない基本」という記事で制度の全体像には触れましたが、実際に口座を開設しようとすると「成長投資枠」と「つみたて投資枠」という2つの枠が出てきて、どちらに何を入れればいいのか迷う人は多いようです。私自身も最初に制度を調べたとき、この2つの違いがすぐには腑に落ちませんでした。今回は、この使い分けについて調べたことを整理していきます。
そもそも2つの枠に分かれている理由
新NISAは年間の非課税投資枠が360万円まで拡大されましたが、この360万円は一括りではなく、内訳が決まっています。
- つみたて投資枠:年間120万円まで
- 成長投資枠:年間240万円まで
つみたて投資枠は、旧つみたてNISAの仕組みを引き継いでおり、対象商品が金融庁の基準を満たした投資信託・ETFに限定されています。信託報酬が低く、長期の積立・分散投資に適した商品だけが選ばれている、という建て付けです。
一方の成長投資枠は、旧一般NISAに近い性質を持ち、個別株やアクティブファンド、REITなど、より幅広い商品を購入できます。ただし高レバレッジ型の投資信託や毎月分配型の商品など、一部除外されている商品もあります。
つまり制度としては「安定重視の積立向け枠」と「選択肢の広い枠」を分けることで、初心者でも安全に近い商品から始められるようにしつつ、経験者にはより自由度の高い投資も認める、という設計になっているようです。
非課税保有限度額という上限も存在する
年間の投資枠とは別に、生涯にわたる非課税保有限度額が1800万円と設定されている点も重要です。このうち成長投資枠で使えるのは1200万円までで、残りの600万円分はつみたて投資枠専用ということになります。
言い換えると、成長投資枠だけで1800万円を使い切ることはできず、必ずつみたて投資枠側の枠も一定量使う設計になっています。この上限を知らずに成長投資枠に偏った買い方をしていると、後になって「思ったより自由に使えない」と感じる場面が出てきそうです。
50代が使い分けを考えるときの視点
ここからは制度の説明ではなく、50代がこの2つの枠をどう使い分けるとよさそうか、調べた情報をもとに整理してみます。
つみたて投資枠を土台にする考え方
つみたて投資枠は対象商品が絞られている分、値動きの大きい個別株のような銘柄選びの手間がかかりません。50代からの資産形成では、退職までの残り時間が20代・30代より短いため、大きな失敗を避けながら着実に積み上げる土台として、この枠を優先的に使う考え方が一般的なようです。
成長投資枠の使い道は人によって分かれる
成長投資枠については、以下のような使い方が調べた範囲で見られました。
- つみたて投資枠と同じ投資信託を追加購入し、非課税枠を早めに使い切る
- 配当が期待できる個別株やREITを組み入れる
- すでに保有している特定口座の商品を、税制上のメリットを保ちながら新NISA口座に移す(実際には売却・買い直しが必要)
50代の場合、退職金の受け取りや住宅ローンの完済時期と重なることも多く、まとまった資金を成長投資枠で一度に投じるかどうかは、家計全体の見直しと合わせて考える必要がありそうです。以前「家計全体も見直すことにした」でも触れたように、投資の話だけを切り離して考えるのではなく、固定費や将来の支出予定と合わせて枠の使い方を決める視点が欠かせません。
迷ったときに確認しておきたいポイント
調べていく中で、使い分けを考える際にチェックしておくとよさそうな点がいくつか見つかりました。
- 年間360万円の枠を必ず使い切る必要はない。無理のない金額から始めて問題ない
- つみたて投資枠の対象商品は金融庁の基準を満たしたものに限られるため、商品選びに迷ったときはまずこちらから検討する
- 成長投資枠で個別株を購入する場合、値動きのリスクは非課税であっても変わらない
- 非課税保有限度額1800万円のうち600万円はつみたて投資枠専用であることを踏まえ、長期的な配分を考える
制度自体は複雑に見えますが、分解していくと「安定枠」と「自由枠」という役割分担がはっきりしています。50代からNISAを始める場合、まずはつみたて投資枠で仕組みに慣れてから、成長投資枠の使い道を検討していくという順番が、調べた範囲では無理のない進め方に思えました。
制度の理解は今後も更新が必要
新NISAは始まったばかりの制度で、対象商品や細かいルールが今後見直される可能性もあります。今回整理した内容は、あくまで調べた時点での制度理解であり、実際に口座を開設する際は、金融機関の公式情報や国税庁・金融庁の案内を必ず確認してください。
50代からの資産形成は、時間の使い方が20代・30代とは違います。だからこそ、枠の性質を理解した上で、自分の家計状況に合った配分を考えることが、遠回りに見えて一番の近道になりそうです。