iDeCoの受け取り方、一時金と年金どちらが得なのか調べてみた

iDeCoは「もらい方」で手取りが変わる

iDeCoについて調べていると、掛金の話や運用商品の話は情報が多いのですが、「受け取り方」についての情報は意外と少ないと感じました。50代からiDeCoを始めた場合、あと数年〜10年程度で受け取りのタイミングが来る人も多いはずです。

iDeCoの受け取り方には、大きく分けて「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」の3パターンがあります。どれを選ぶかで税金の計算方法が変わり、手取り額に差が出る可能性がある、というのが調べて分かったことです。

一時金でもらう場合の仕組み

一時金は、積み立てた資産を一括で受け取る方法です。この場合「退職所得」として扱われ、退職所得控除という仕組みが使えます。

退職所得控除の計算式は以下の通りです(国税庁の情報をもとに整理)。

例えば加入期間が20年であれば、控除額は800万円になります。この控除額の範囲内であれば、受け取った一時金には税金がかからない、という制度です。

注意したいのは、会社の退職金と同じ年、または近い年にiDeCoの一時金を受け取ると、退職所得控除が合算されて計算される場合があることです。退職金とiDeCoを別々の年に受け取れば控除枠をそれぞれ使える可能性があるという説明もあり、受け取り時期の調整が重要になりそうだと感じました。

年金でもらう場合の仕組み

年金として受け取る場合は、5年以上20年以下の期間で分割して受け取る形になり、税制上は「雑所得」として公的年金等控除の対象になります。

公的年金等控除にも一定の非課税枠がありますが、こちらは「その年に受け取る他の年金(国民年金・厚生年金など)」と合算して計算される点に注意が必要です。60代以降、公的年金の受給と時期が重なると、控除枠を使い切ってしまい、思ったより税金がかかるケースもあるようです。

また、年金として受け取る場合は、金融機関によって振込手数料が都度かかることが多い、という情報も見かけました。数百円程度の手数料でも、受取回数が多くなれば累計の負担は無視できない金額になります。

一時金と年金を組み合わせる方法もある

多くの金融機関では、一時金と年金を組み合わせて受け取る「併用」も選択できます。例えば資産の一部を一時金として受け取り、退職所得控除の枠内に収めつつ、残りを年金として分割して受け取る、という方法です。

併用によって、退職所得控除と公的年金等控除の両方をバランスよく使えるケースがある、という解説を複数のサイトで見かけました。ただし金融機関によって併用できる割合や条件が異なるため、自分が加入している金融機関の規定を確認する必要があります。

どちらが得かは退職金の額次第

調べていて分かったのは、「一時金と年金、どちらが絶対に得」という単純な答えはない、ということです。

会社の退職金が多い人は、退職所得控除の枠をすでに退職金でほぼ使い切ってしまうため、iDeCoを一時金で受け取ると控除枠からはみ出した部分に課税される可能性があります。この場合は年金として受け取り、公的年金等控除を活用する方が有利になるケースがあるようです。

逆に退職金が少ない、またはない人は、iDeCoの一時金だけで退職所得控除の枠を使い切れず、非課税で受け取れる可能性が高くなります。

自分の退職金の見込み額を把握していないと、この判断はそもそもできません。会社の退職金規定を確認することが、iDeCoの受け取り方を考える前提になりそうだと感じました。

受け取り時期にも注意が必要

iDeCoは原則60歳から受け取りが可能ですが、75歳までの間で受け取り開始時期を選べます。受け取りを遅らせれば運用期間が延びる一方、退職金との受け取り時期の重なり方も変わってきます。

会社の退職金を60歳で受け取り、iDeCoの一時金は数年ずらして受け取る、という方法を紹介している記事もありました。退職所得控除は原則としてその年の受け取り分に対して計算されるため、時期をずらすことで控除枠を二重に使える可能性がある、という説明です。ただし制度の詳細な適用ルールは年度によって変わることもあるため、実際に受け取る際は最新の情報を確認する必要がありそうです。

調べてわかったこと、迷ったら確認したいこと

今回調べて感じたのは、iDeCoの受け取り方は「正解が一つに決まっている話ではない」ということです。退職金の有無や金額、公的年金の受給時期、他の所得の状況によって、有利な選択肢は人それぞれ変わります。

50代でiDeCoを続けている場合、受け取り開始まで数年の猶予がある人も多いはずです。そのタイミングで一度、会社の退職金規定を確認し、iDeCoの残高と合わせてシミュレーションしてみる価値はありそうだと感じました。国税庁のサイトや、加入している金融機関の受け取りシミュレーションツールを使えば、大まかな試算はできるようです。

税金の制度は複雑で、私自身もまだ受け取りの段階には至っていませんが、早めに仕組みを理解しておくことが、いざという時の判断材料になると考えています。