30代のうちにやっておきたい資産形成、複利という時間の使い方

50代になって気づいた、30代という時期の意味

振り返ってみると惜しかった。私が50代になって資産形成の勉強を始めたときに最初に思ったのはこの一言でした。制度を知らなかったわけではなく、知っていても「まだ先でいい」と後回しにしていた期間がそのまま複利の恩恵を受けられない期間になっていたのです。

30代は住宅ローンや教育費、キャリアの変化など出費の波が大きい時期でもあります。だからこそ「今は余裕がないから」と資産形成を先送りにしやすいのですが、この年代で動くかどうかが50代になったときの差として表れてきます。

複利は「金額」より「時間」で効いてくる

複利の効果は元本の大きさよりも運用期間の長さに強く影響を受けます。仮に毎月3万円を年利3%で積み立てた場合、30年間続けると元本1080万円に対して評価額はおよそ1750万円前後になる計算です。同じ条件で20年間だと元本720万円に対して評価額はおよそ985万円前後にとどまります。

10年の差が生み出す評価額の開きは決して小さくありません。同じ「毎月3万円」という負担でも、始める年代によって最終的な資産額に大きな差が出るというのが複利の性質です。30代で始めるか40代で始めるかは、単なる「10年の遅れ」ではなく「複利が働く期間の10年」を失うことを意味します。

30代のうちにやっておきたい3つのこと

先取り貯蓄の仕組み化

給与が入った時点で一定額を別口座に自動的に移す仕組みを作っておくと、意志の強さに頼らずに貯蓄を続けられます。30代は収入が増えていく時期でもあるため、昇給のたびに積立額を見直すタイミングを決めておくと無理なく積立額を増やしていけます。

NISA・iDeCoの口座だけでも開設しておく

すぐに満額を積み立てられなくても、口座を開設しておくこと自体に意味があります。つみたて投資枠であれば少額からの積立が可能で、まとまった余裕資金がなくても始めやすい制度です。iDeCoは60歳まで引き出せない制約がある分、老後資金として手をつけずに育てられるという側面もあります。両方の制度の違いを理解した上で、無理のない範囲から動き始めておくと後の選択肢が広がります。

収入源を複数持つ準備を始める

会社員としての給与だけに頼るのではなく、副業という形で収入源を増やす経験を早いうちに積んでおくと、50代になってから急に動き出すよりも助走がついた状態でスタートできます。30代のうちは体力的にも新しいことへの挑戦がしやすい時期です。小さな金額でも自分の力で稼ぐ経験は、後々の家計の柔軟性につながります。

世帯の状況によって優先順位は変わる

独身であれば収入の変動が自分の判断だけで完結するため、積立額を柔軟に調整しやすい立場にあります。共働き世帯の場合は、どちらかの収入が途切れても生活が回るように生活防衛資金を厚めに確保しておく発想が必要になります。子育て世帯では教育費の準備と老後資金の準備が同時並行になるため、優先順位をつけずに両方を薄く並行して進めるという考え方が現実的です。

どのケースであっても共通しているのは、生活防衛資金をある程度確保した上で余剰資金を積立に回すという順番です。生活費の数か月分に相当する資金を手元に残しておかないと、相場が下がったタイミングで積立を続けられなくなるリスクがあります。

30代の10年間をどう扱うか

50代になってから制度を学び直すことは無駄ではありませんが、複利という仕組みは時間を巻き戻せません。30代のうちに動いた分だけ、50代になったときの選択肢の幅が変わってきます。完璧な計画を立てる必要はなく、まずは口座を開設する、先取り貯蓄の仕組みを作るといった小さな一歩から始めておくことが、後になって効いてくるのだと感じています。

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