50代になって資産配分が気になり始めた理由
新NISAが始まってから、周りで投資の話を耳にする機会が増えました。私自身も固定費の見直しやiDeCoの制度を調べる中で、ふと気づいたことがあります。積立の「やり方」は調べてきたけれど、資産全体を「どう配分するか」はほとんど考えていなかったということです。
株式にどれくらい、現金にどれくらい、そもそも債券は必要なのか。20代や30代なら失敗しても取り返す時間がありますが、50代からの資産配分は少し事情が違います。今回は、この「資産配分(アセットアロケーション)」という考え方について、調べたことを整理してみます。
資産配分とは何を決めることなのか
資産配分は、手元にあるお金を株式・債券・現金・不動産といった異なる値動きの資産にどう振り分けるかという設計のことです。個別の銘柄選びよりも、この配分比率のほうが長期的なリターンやリスクに与える影響が大きいという考え方が、資産運用の世界では広く知られています。
例えば同じ100万円でも、株式に80万円・現金に20万円で持つ人と、株式に20万円・現金に80万円で持つ人とでは、値動きの振れ幅がまったく違います。新NISAの成長投資枠を使うかつみたて投資枠を使うか、という選択の前に、そもそも自分がどのくらいの振れ幅に耐えられるかを決めておく必要があるわけです。
「100引く年齢」という目安とその限界
資産配分を考えるときによく紹介されるのが「100から自分の年齢を引いた数字を、株式などのリスク資産の比率にする」という考え方です。この計算式に従うと、50代なら株式比率はおおよそ50%前後という目安になります。60代なら40%、70代なら30%という具合に、年齢が上がるほど守りの比率を高めていく発想です。
ただ、この目安はあくまで一つの参考にすぎません。同じ50代でも、退職金がまとまって入る見込みがある会社員と、退職金制度自体がない自営業やフリーランスとでは、取れるリスクの大きさが違います。住宅ローンが残っているかどうか、扶養している家族がいるかどうかによっても、必要な現金の厚みは変わってきます。年齢だけで一律に決められる話ではないというのが、調べていて感じたことです。
生活防衛資金をどう見積もるか
資産配分を考える前提として、まず「投資に回してよいお金」と「絶対に減らしてはいけないお金」を分けておく必要があります。後者にあたるのが、いわゆる生活防衛資金です。
会社員であれば、失業や休職があっても当面の生活費でしのげる程度の現金を確保しておく、という考え方が一般的に紹介されています。自営業やフリーランスの場合は、収入の変動が大きい分、会社員よりも厚めに現金を持っておくという考え方も見られます。この生活防衛資金を確保したうえで、残りのお金について初めて株式や投資信託への配分を検討する、という順序が基本になるようです。
ケース別に考えてみる
同じ50代でも、置かれている状況によって資産配分の考え方はかなり変わってきます。
会社員で退職金の見込みがあり、住宅ローンも完済しているケースでは、退職金という大きな守りの資産が将来入ってくることが分かっているため、それまでの期間は比較的リスクを取りやすいという見方があります。新NISAの成長投資枠を使って株式比率をやや高めに設定する、という考え方も一つの選択肢として紹介されています。
一方、自営業で退職金制度がなく、収入が売上に連動して変動するケースでは、生活防衛資金を厚めに確保したうえで、リスク資産の比率は控えめにするという考え方が多く見られます。国民年金基金やiDeCoといった自分で積み立てる制度の役割が相対的に大きくなる分、投資に回す部分は無理のない範囲にとどめるという発想です。
また、住宅ローンがまだ残っているケースでは、ローンの金利と投資で期待できるリターンを比べて、繰り上げ返済と投資のどちらを優先するかという判断も出てきます。ローン金利が高めであれば、投資よりも返済を優先したほうが確実というケースも少なくないようです。
配分は一度決めたら終わりではない
資産配分は、一度決めたらそのまま放置してよいものではないという点も、調べていて印象に残りました。株式が値上がりすれば、当初50%だった株式比率が知らないうちに60%や70%まで上がっていることがあります。この状態を放置すると、想定していたよりも大きなリスクを取っていることに気づかないまま相場の下落を迎えることになりかねません。
定期的に配分を見直し、増えすぎた資産を売って元の比率に戻す「リバランス」という作業が必要になる、という考え方が資産運用の解説では繰り返し紹介されています。頻繁に売買する必要はないようですが、年に一度程度は自分の資産配分を確認する習慣を持っておくとよさそうです。
参考情報
- 金融庁
- 日本証券業協会